嚥下障害支援サイト スワロー

嚥下食(1)

嚥下障害に向かない食形態

嚥下障害患者さんに向かない物は、次のような物です。


サラサラした液体・・・水、お茶、汁物、ジュースなど

サラサラした液体は早いスピードで咽頭へ落ちていきますから,咽頭の反射の遅い方にとっては,ムセや誤嚥の原因になります.ただし,液体でも少しトロミが付いる物は問題なく摂取できる場合もあります.水ではむせるけれど,牛乳は大丈夫とか,わずかなトロミ加減の違いで飲みこみやすさに差が出ます.水分摂取の際には増粘剤を使ってトロミを付けたり,ゼラチンや寒天を使ってゼリー状で摂取しても良いでしょう.

口腔内でバラバラになりまとまりにくい物・・・肉,かまぼこ,こんにゃく,れんこん,ピーナッツなど

このような形態の食物は,唾液分泌量の少なくなった高齢者や,口腔に麻痺があるためうまくお口の中の食材を処理できない方にとっては非常に食べづらい物となります.特にこのような食材を,上手く咀嚼が出来ないからという理由で細かく刻むと,お口の中全体に食材が散らばり余計咀嚼し辛くなります.飲み込むときにもひとかたまりになりにくく飲み込みにくいうえ,ポロポロと咽頭へ落ちていき誤嚥(食物などが食道ではなく誤って気管へ入っていくこと.)の原因になります.ただし,このような食材でも調理形態を変えることで嚥下食として利用できるものもあります.


水分が少なく,パサパサした物・・・パン,カステラ,マドレーヌ,高野豆腐など

 このような物は一見食べやすそうですけれども,食材の水分含有量が少ないため,口腔内でバラバラになりまとまりにくく,食隗形成がしづらくなります.また,パン,カステラ,マドレーヌ等は,いったん唾液と混ぜ合わされると粘性の高い,ベタッとした食隗となるため,口腔内に残留したり,摂取量が多かった場合,咽頭に詰まったりする危険性もあります.高野豆腐は含め煮などの場合,最初に染み込んでいた煮汁だけが咽頭へ流れてしまい,誤嚥の危険性もありますし,煮汁が無くなった高野豆腐というのはパサパサして,非常に食べづらい物になります.


口腔内や咽頭に貼り付きやすい物・・・焼き海苔,わかめ,もなかの皮,ウエハース,餅など

このような食材は,お口の中や咽頭にペタッと貼り付くことがあるため危険です.また,薄く切ったきゅうりなども案外張り付きやすいものです.野菜類は少し厚みを持たせて切った方が咀嚼もし易いので,調理の際,気をつける必要があります.

粘りの強い物・・・餅,だんごなど

「ベタベタ」したものはお口の中や喉の粘膜へ貼り付きやすく,咽頭への送り込みが難しくなります.特に餅は,食品の性質上口腔内で小さく処理することが難しいため,大きな塊りのまま咽頭へ送られやすく,窒息の危険性もあります.また,増粘剤を用いてトロミをつける際には,ある程度の粘性は必要ですが,必要以上に粘性が高いとかえってベタベタ貼り付き,飲み込みにくくなります.

すべりのよすぎる物・・・トコロテン,寒天ゼリーなど

咽頭の反射が遅い嚥下障害患者さんの場合,すべりのよすぎる物は,まだ咽頭の受け入れ態勢が出来ていないうちに食品が咽頭へ送られてしまうので,誤嚥やムセの原因になります.

硬いもの・・・たこ,いか,ごぼう,れんこんなど

歯がなかったり,むし歯や歯槽膿漏などで噛むことが困難な方にとっては,「硬いもの」も「食べにくいもの」に含まれます.もともと高齢者は筋力の低下や歯牙の喪失により,噛む力が低下している場合が多いものです.歯ごたえも美味しさの条件の一つですが,このような噛む力の低下した方には,舌と上顎で押しつぶせる位の硬さと大きさの調理の形態にする必要があります.

酸味の強い物・・・酢の物,柑橘類など

酸味の強いものはムセを誘発するため,出来るだけ避けたほうが良いでしょう.酢の物などを調理する際には,酢の分量を少なくし,だし汁などで薄めるなどの工夫が必要です.


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